クォーツ時計は、1969年にセイコーが発表した「アストロン」から本格的に始まりました。
高精度で安定し、実用性に優れるこの技術は、時計の歴史を大きく変えた発明です。
1970年代、その流れはスイスの高級時計メーカーにも及びます。
ロレックスもまた、クォーツという新しい技術と向き合うことになります。
ただしロレックスは、「効率よく作れるクォーツ」を目指したわけではありませんでした。
彼らが選んだのは、クォーツを“ロレックスなりに再構成する” という道でした。
その結果として生まれたのが、1977年発表のオイスタークォーツ、そしてその心臓部 Cal.5035 です。
クォーツだが、中身は単純ではない
一般的なクォーツムーブメントは、電子回路と簡素な歯車で構成され、合理性を重視しています。
一方、Cal.5035 は明らかに異なります。
- 11石のルビーを使用
- アンクルとガンギ車を備える
- 金属製の地板と歯車構成
特に注目すべきなのは、針を動かす部分に、機械式時計と同じ脱進機構の考え方が使われている点です。
モーターの力をそのまま針に伝えるのではなく、一度「制御」してから伝える。
これは精度というより、耐久性や安定性を重視した設計と考えられます。
結果として、秒針は独特の力強いステップ運針となり、音や感触にも、他のクォーツとは違う個性が生まれました。
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🎥 Instagramで動画を見る見えない部分にも、機械式と同じ思想
Cal.5035 を裏蓋側から見ると、それが電池式ムーブメントであることを忘れそうになります。
- ✔ コート・ド・ジュネーブ装飾
- ✔ ロジウムメッキされた地板
- ✔ 面取りされたエッジ
これらは、当時の自動巻きムーブメント Cal.3035 とほぼ同等の仕上げです。
クォーツであるから簡略化するのではなく、クォーツであっても、同じ基準で作る。
この姿勢は、ロレックスの一貫した思想をよく表しています。
アナログで行われた温度補正
Cal.5035 には、温度変化による誤差を抑えるためのアナログ温度補正機構が搭載されています。
ムーブメント内部のサーミスタが外気温を感知し、水晶振動子にかかる電圧を微調整する仕組みです。
現在であればデジタル制御で行われる処理を、1970年代にアナログ回路で実現していた点は注目に値します。
この結果、当時としては非常に優秀な年差数十秒という精度を達成しました。
「修理できるクォーツ」という設計
Cal.5035 を評価する上で重要なのが、分解・整備を前提として設計されていることです。
多くのクォーツ時計は、故障時にムーブメントごと交換されます。
しかし Cal.5035 は、歯車を分解し、洗浄し、注油し、再調整することが可能です。
これは、クォーツを「消耗品」とは考えていなかったロレックスの姿勢を示していると言えるでしょう。
まとめ:クォーツへの一つの回答
オイスタークォーツは、クォーツ時計の主流にはなりませんでした。
しかしそれは失敗ではなく、ロレックスがクォーツという技術に対して示した、一つの完成形です。
セイコーが切り拓いたクォーツの道を、ロレックスは別の角度から深く掘り下げた。
Cal.5035 は、その結果として生まれた、非常に特異で、そして誠実なムーブメントです。
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